この3月に中学生活を終える私の息子が
卒業式で合唱する歌を紹介します。
4年前の今日、
大震災で被災した福島県南相馬市立小高中学校のある町は
甚大な被害を受け、4名の生徒が命を落としました。
そのうち2名が1年生でした。
その後、原発の事故で町は警戒区域に指定され、
他校の教室を借りたり、仮設校舎での授業を余儀なくされました。
残った生徒たちの中にも、大半の生徒が自宅や家族を失い、
生活の場所を離れた土地に移すことになり、
被災前は106名いた1年生の数は数名になっていました。
そんな状況の中で、残った生徒たちも心に深く傷を負い、
音楽の授業では、皆が歌を歌う事が出来なくなってしまったのです。
音楽の先生までもが歌を歌えなかったそうです。
被災当時に1年生だった生徒たちが3年生の進級を控えた頃、
思い悩んでいた音楽の先生は、生徒たちの普段の会話や作文・詩などから、
命を落とした仲間や遠く離れていった友達への思いを集め、それらを詩にまとめ、
自ら作曲したメロディーを付けてこの曲を完成させました。
そして生徒たちは3年生になり、先生と共に
自分たちで作詞したこの曲の練習を毎日積み重ね、歌声を取戻し、
卒業式には保護者や来賓の前で素晴らしい合唱を成功させたのです。
歌詞を紹介します。
『群青』
(福島県南相馬市立小高中学校平成24年度卒業生の曲)
ああ あの町で生まれて 君と出会い
たくさんの思い抱いて 一緒に時間(とき)を過ごしたね
今 旅立つ日 見える景色は違っても
遠い場所で 君も同じ空 きっと見上げてるはず
「またね」と 手を振るけど 明日も会えるのかな
遠ざかる君の笑顔 今でも忘れない
あの日見た夕陽 あの日見た花火 いつでも君がいたね
あたりまえが 幸せと知った
自転車をこいで 君と行った海
鮮やかな記憶が 目を閉じれば 群青に染まる
あれから2年の日が 僕らの中を過ぎて
3月の風に吹かれて 君を今でも思う
響け この歌声
響け 遠くまでも
あの空の彼方へも 大切な すべてに届け
涙のあとにも 見上げた夜空に 希望が光ってるよ
僕らを待つ 群青の町で
きっと また会おう
あの町で会おう
僕らの約束は 消えはしない 群青の町で
また 会おう 群青の町で・・・
この曲が聴く人の心に深く響くのは、全てが事実から生まれた曲だからなんだと思います。
同じ町で、色んな事に悩み成長する思春期を共に過ごした仲間への強い思い、
日々の情景が歌われています。
曲名の「群青」という言葉はこの中学校の校歌にも使われていて、
地域の子ども達の団体名等でも昔から親しまれていたそうです。
震災という辛い体験を通じて生まれた歌ですが、
自分の中高生時代とも重なるような素敵な歌詞です。
先生が作曲されたメロディーもとても暖かくて感動的です。
震災を遠い場所での出来事としか感じていない、子ども達にも
ずっと歌い継いでほしいと思います。
是非皆さんにも聞いて頂きたいと思い紹介しました。
ここでその生徒たちの歌を聞けます。
www.youtube.com/watch?v=hwWIBwaXkUs
管理部 鈴木
2024.06.27